山・人・箱 そしてアスペン。

アスペン 町とスキー場の近さに注目。

アメリカ コロラド州にアスペンという山々のどんつきにある小さな町があります。

1880年代、今から140年前アメリカで起きたゴールドラッシュ時にはその銀が取れたアスペンに5,000人が住んでいましたが、1893年アメリカの大不況と、それまでの銀本位制から金本位制に変わったために銀の価格が暴落し、少しづつ人口が減り1930年には700人に、、
ゴールドラッシュの盛況から過疎化へ、、ふつ〜の山あいにある小さなちいさな町となりました。

しかし、1940年前後にシカゴからダンボールを作っている製紙会社の大金持ちがアスペンを訪れ、夏の涼しい気候、なによりも澄んだ空気を気に入り、夏の避暑地としてアスペンリピーターとなった。

シカゴの経済と政治に太くて強いコネクションを持っているそのお金持ちはシカゴとニューヨークを中心に活躍している文化人、とくにデザイン美術関係と音楽関係の重鎮達に事あるごとにアスペンの良さをアピール。

デザイン美術会や音楽会の巨匠達はひとりふたりとアスペンを訪ねることになり、常日頃から巨匠先生達の指導を受けている、または受けたいと思っている若い生徒達も挙ってアスペンに集結。

普段シカゴやニューヨークの大都会にいたら絶対に会ってくれない、会えない 先生方が町に一件しかないカフェで目の前でお茶飲んでいるんだから。生徒たちもアプローチしやすい、、

先生方が集まれば美術デザインやシンクタンクの会合コンファレンス、そして音楽祭が毎年開かれるようになり、、

それだけ人が出入りし始めたらそれなりのサービスも提供する必要が出てくるわけで、、人口も増え始めた。

そしてアスペンは最初は避暑地として過疎化から脱出。

周りを見回せば、町からそびえ立つ、スキーにちょうどいい山がある、雪も良く降る。

それに目を付けた若い衆が1930年代にロープトウを設置してスキーで遊び始めた。スキー場を大きくする、というアイデアも出たけど第二次世界大戦に突入してそのお話しは一時中断。

戦争が1945年に終結して、前述のシカゴ大金持ちが中心になってスキー場会社 The Aspen Skiing Company が1946年に設立。
それからのアスペンは夏は避暑、冬はウィンタースポーツで年間を通して賑わっている通年山岳リゾートとしてその立場を揺るがないものにしている。

さて、ここからがオレが強調したいこと。
相変わらずも本題に入るまでに、、時間かかる。

アスペンの歴史を振り返ってみて思ったこと。
特に通年山岳リゾートを成功させるにはこの要素と順番が必要ではないか?

それは、、

山 人 箱。

1、山:山と雪。

2、人:そこに腰を据えて住む住人たち。

3、箱:ゴンドラやリフト、宿泊 飲食設備。

なにはともあれ山、
山だけではなくて豊富な雪の量、軽くて滑りやすい雪の質も大切。

お次に大切なのは?

人、
または文化と言っても良いかな?
特に山岳リゾートはそこに在住している人達とゲストの結びつきが強くなる事が多い。
登山ガイド、スキースノーボードインストラクター、常宿の旦那さん女将さんなどなど、、
たとえ山にそれほど魅力がなくても、ふもとのインフラ設備が弱くとも、人が強いところにはリピーターが出来る。
また、来るね〜と言ってお帰りになるリピーターはリゾート関係に限らずどんなビジネスにとってもとても大切。

人がいなくともそれに代わる文化があれば十二分にオーケー。
ディズニーやユニバーサルを思い浮かべたちれば分かりやすい。キャラクター達を通してのディズニー文化やアメリカ映画文化。
文化があるとゲストにイメージを植え付けやすくなる。
またはこれから来てくれるゲストがイメージを持ちやすくなる。

前述のアスペンの歴史も人を呼んで、そしてデザイン美術、経済政治会のシンクタンクを集め、音楽会をホストする、という文化を作り上げた。

そして人が集まり始めれば、いろいろな箱が必要となってくる。
これが3番目。
宿泊や飲食設備、会合が開ける会議場、展示会場、ウィンタースポーツに必要なゴンドラやリフト、山腹のレストランやトイレなどのいろんな施設。

よって、山・人・箱。

さて、日本の山岳リゾートに目を移すと?

素晴らしい山々。
世界に誇れる、自信を持ってゲストを呼べるレベル。
白馬連峰は何回行ってもド〜ンと出てくるその迫力と美しさに息を飲みますな。
第一の要素:山 クリアー。

(オレの話しで恐縮ですが、、)
東京生まれ、埼玉育ちのオレが今はアメリカのコロラドの山中で暮らしているのははっきり言って、野沢の山での生活を年間通して体験したから。
もし、野沢温泉スキー場がリフトが2本しかない小さなスキー場だったとしても、オレは野沢に毎年帰っていたと思う。
それは村のいろんな方に優しく接してもらい、お世話になったから。
そして昔からのスキー文化をとても大切にしている野沢。
人と文化、この二つが合わさると強い、すごく強い。

いい人は、いい人を呼び込んでくる。
第二の要素:人 クリアー。

いい雪が降る山があって、その魅力に惹かれて人と文化が集まるとそれを収める箱が必要となる。
でも最初から箱にそれほど注力する必要はない、、
人と文化が集まり始めるとお金も集まってくる。
そこに商機があれば常に投資先を探している投資家たちがめざとく箱を作りできるだけ短期で投資金と利益を回収しようとする、、
そこにいい山といい人がいれば、自然と箱は出来てくるもの。
それよりも新しく箱を作るときには、
その箱がそこにいる人と文化に合い沿ったものなのか?
作るときの建造費よりもその後30、40年後までの維持費をどう毎年捻出するか?
維持費が出なくなったときのプランBはあるのか?
箱を作った投資家たちだけが利益を上げるだけではなく地元社会にも貢献出来るシステムを作れるのか?
また投資家たちが商売を引き上げるときに作った箱を撤去して自然に戻す、または違う用途で再開発するための撤収準備費を地方自治体は投資家から預かってあるのか? 預かっていないとすると廃墟となった古い箱はどうするのか?そのまま放置はあり得ないでしょう?などなど、、一つづつクリアにしていかないと、、オレたちの後の世代、子供、孫たちが大変なお荷物を抱え込むことになる。

第三の要素:箱 クリアー、と言いたいけど、、クリアーじゃないな、、まぁ 箱の問題はアメリカでもいろいろと成功例、失敗例を見ているのでまだまだギャンギャン言いたいけど、、今日はこれまでで、、

山岳リゾートを開発する〜!
なんて言うと、ホテルやコンドミニアム、そして最新鋭の高速ゴンドラやリフト設置、、なんて想像するかもしれませんが、
本腰でリゾート開発するのに遠回りのようで実は近道なのはそこに住む人たちと文化を育てること、なのかもしれない。

その場所で生まれ育った子供たちに芸術や美術に触れさせ、積極的に海外に出して異なる言葉と文化を吸収させ、それらのいいエッセンスを地元に持ち帰ってもらい、その時代そしてそれからをも見越した、継続性のあるリゾート開発を進めるのがいいんじゃないかな〜と思うのはオレだけでしょうか?

それよりもこのブログを見てくれている方々、
これからそろそろシーズンインしていろんなスキー場に行かれる、と思いますが、そのときに 山・人・箱を見ていくととても面白い発見がある、と思いますよ。

アスペン、とてもいいところです。ぜひ滑りにいらっしゃってくださいね。
アスペンにご興味ある方はいつでもスキーアメリカまでご連絡ください。
アスペンをお得に滑れるアイコンパス(12月はじめまでの期間限定販売)のご案内はこちらです。

1986年に作られた古いシルバークイーンゴンドラ、箱は古くともアスペンには山と人がある。
ゴンドラ目の前の一等地にあるコンドミニアム。1部屋コンド1.5億円、2部屋コンド3億円。ある意味わかりやすいお値段付け。1980年代 30年前に建てられた古い建物だけど、綺麗に修繕を重ねながら使われています。
良子ちゃんはこの店の前でアーノルド・シュワルツェネッガーさんにばったりとお会いしたそうです。ボディガードがいろんなショップバッグを持っていた、、とのこと。それもアスペン。
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